英語高地トレーニング

あらゆる場面で役立つ英語力を身に付けると同時に、英検1級、TOEIC990点を取得するための方法を
世界の英語教育研究の結果を参考にしながら紹介します。
対象:英検準1級、1級、TOEIC700点以上を目指す人

真の上級レベルを目指すために

 まじめに学習を続けていても、ある段階から効果が上がらなくなってしまう人もいます。ここでは、一定レベル(TOEIC800~900点)で伸び悩んでいる人の学習に共通してみられる特徴と、その壁を乗り越える方法について取り上げてみます。

よくある学習法の問題点

 「まずは興味のある記事を読んでみましょう。」
 「自分になじみのある話題だとリスニングもしやすくなります。」
 「日本に関しての話題を探して読んでみましょう。」

 これまでに幾度となく目にしたフレーズだと思いませんか。

 確かに間違ってはいません。多読、多聴が圧倒的に不足している人にとっては、ある程度理解できる題材を選ぶのは大切なことです。しかし、このアドバイスには問題があることに気づいているでしょうか。その次の段階で何をすべきか、に関しての方向性が示されていないのです。それによって、自分に理解できるものをインプットするだけで上級レベルに達することができる、と勘違いしてしまうのです。

 まじめに勉強をする人ほど、この落とし穴にはまりやすいようです。NHKのニュースを英語で聴いてみる。英字新聞で、日本国内で起こっていることを読んでみる。これだけをひたすら続けている人も少なくありませんが、実はこの勉強こそが、英語の上達を妨げる原因でもあります。

「英語ができる」とは?

 「英語ができる」、というのはどのような状態であるのかを考えてみてください。「日本に関しての話題だったら、英語で書かれていても理解できます。」「リスニングでは、自分の興味のある話題であれば、概要はつかめます。」このような英語力を、本当の意味で実践的と呼ぶことができるでしょうか。

 厳しい言い方をすれば、日本に関しての話題であれば、わざわざ英語で読む必要はありません。日本語で読めばいいのです。日本語では読めない話題だからこそ、英語で読む必要性が生じるのです。

 私にとっての「英語ができる」とは、

  • どんな話題であっても、一定の理解度を保って読むことができる。
  • どんな話題が話されていても、ある程度内容を把握することができる。
  • 当然のことながら、自分の専門分野や興味のあることに関しては、深く正確に理解できる。
というものです。

 それを達成するためには、自分にとってなじみのないもの、興味のないものを意図的にたくさんインプットすることが必要になってきます。なじみのあるものだけを扱う、という心地よい状態から外へ踏み出さなければならないのです。

経験から学んだこと

 実際、私がリスニングを本格的に鍛えようとした時、この問題に直面しました。(留学から帰国して約1年半後、TOEICのリスニングは480点でした。)NPR NEWSを聴きはじめましたが、内容によっては全く理解できないこともよくありました。そういう時には決まって、「これは知らない話題だから聞き取れないんだ。わからなくて当然なんだ。」と感じたものです。

 ところが、しばらくリスニングを続けていくうちに、ネイティブ向けの英語のニュースでは、私になじみのある話題は、ほとんど放送されないことに気づきました。次第に、「この話題は難しいからわからなくてもいいや。」と自分自身に言い訳をするのが、情けなく思えてきました。

 どうしたらいいものか、色々と考えてみました。
「英語力はもっと伸ばしたい」
「でも、アメリカ国内の政治や情勢に興味はない。」
「でも、そうするとアメリカのニュースは理解できない。」

 しばらく考えてたどり着いた結論は、「現状以上の理解力を求めるためには、話題そのものについての知識を増やすしかない」というものでした。

 結局のところ、英語力とは、「話題と切り離されて単独で存在するものではなく、様々な話題の知識と結びついているもの」なのではないでしょうか。そう考えて学習を進めていくと、必然的に、細かい部分(気の利いた表現の暗記、個々の単語の発音等)よりも内容を重視してリスニングをするようになり、必要な知識も少しずつ増えていきました。

 リーディングでも、留学前はReader’s Digest、留学後はTIMEが中心でしたが、なるべく意識的に、分け隔てなく記事を読むようにしていました。(そうでもしなければ、初めのうちは興味のある記事はありませんでした。)そういった学習を数年間続けた結果、理解できる話題の種類が大幅に増し、様々な英語に対応できるようになりました。現在私が英語を使用する時に役立っている知識は、ほとんどが英語を通して得たものです。

 そして、理解できる英語の範囲が広がってくると、不思議なことに、知らなかった話題にも興味がわいてきます。さらに色々なことを知りたくなり、よりインプットを求めるようになります。こうなれば、英語で知識を増やし続けていけるのです。

 簡単にまとめると、一定レベル(TOEIC800~900点くらいが目安でしょうか)を超えてから先は、知識の量=英語力なのです。逆に言えば、「ある話題に関しての背景知識がないから理解ができない」、というのは、「英語力がない」ということに他なりません。こう考えると、試験対策ばかりをしても英語力が伸びない、ということにも納得がいくのではないでしょうか。

正しい学習法

 真の上級レベルを目指すために意識しておきたいことをまとめておきます。

  1. 知識のインプットは英語で
  2. 日本語に頼らない
  3. ネイティブ向けの英語を
  4. 話題を選ばない
  5. 量をこなす

1. 知識のインプットは英語で

 さきほど、知識の量=英語力、と書きましたが、少し補足しておきます。日本ではあまり話題にならない事柄に関する知識を増やさなくてはいけないわけですから、インプットの手段は英語が中心となるべきです。もちろん、日本語を通して関連する知識を拡大していく方法もありますが、これは最小限にとどめたほうがよいでしょう。

 人は、楽な方向へと進むものです。日本語だけで情報が得られるのであれば、日本語での情報収集が中心になってしまうのは自然なことです。そうすると、英語を理解する準備のために、「日本語をインプットする」ことに時間が奪われ、英語自体にふれる時間が短くなります。また、日本語で覚えた用語を英語に変換するのも面倒な作業でしょう。やはり、英語のための知識は英語でインプットする、これが大切です。

 実際、英語という言語は、知識のインプットには適しています。英語では、やや難しい表現や専門用語が出てきた場合には、言い換えや簡単な説明が加えられることが一般的で、読みながら知識を吸収しやすくなっています。日本語よりも読者に親切な言語なのです。「知識がないからわからない」、と諦めるのではなく、「知識を身につけるために読む、聴く」を意識してみてください。

2. 日本語に頼らない

 壁を越えられない人によくあるパターンが、日本語に頼ってしまう、というものです。せっかく英語でインプットしても、その後に、日本語訳やスクリプトで確認しないと安心できないようです。この学習法では、いつまでたっても自立することができません。日本語訳がない記事は読めないし、スクリプトが存在しないものはリスニングができないのでは、英語が使いこなせているとは言えないですね。

 さらに良くないことに、日本語で自分の理解度を確認すると、必要以上に細部までこだわってしまいます。精読、精聴はもちろん重要です。しかし、それとは別に非常に多くの時間を、情報収集のための多読、多聴に使う必要があり、その際、日本語は不要であるばかりか、害になることの方が圧倒的に多いのです。

 いつまでも補助付きの自転車で走っていては、普通の自転車に乗れるようにならないのと同じことです。自転車でもそうだと思いますが、補助はなるべく早くとる方が良いのです。初めは不安でしょうが、続けることで、英語だけで理解する要領が少しずつわかってきます。

 これまで学習をする時、スクリプトや日本語訳がそろっている教材を中心にしてきた人は、なるべく早く英語だけのものに切りかえてみましょう。訳やスクリプトが手に入らないものを使用するのがお勧めです。例えば、翻訳の出ていない本を読めば、そもそも日本語に頼ることが不可能ですね。

3. ネイティブ向けの英語を

 もう1点気をつけるべきことは、ネイティブ向けに発信されたものをインプットする、ということです。英語学習というと、日本で発行された英字新聞や、日本のニュースを英語に翻訳したものを聴くことをイメージする人が多いようですが、残念ながら日本から発信されるニュースの英語としての質は決して高くありません。

 もともと日本語での発想、または日本語での記事があって、それを英語に置き換えているようで、社説も含め英語らしい英語ではありません。むしろ、英語の形をした日本語だと私は考えています。(扱われる話題も日本的です。)

 冒頭で述べた、日本で発信される英語を中心に勉強している人は、「自分になじみや興味のある内容を中心に、あまり英語らしくない英語で、限られた量だけ、細部までこだわって勉強している」ことが多いのです。

 こういった勉強ばかり行っていても、いつまでたってもネイティブがネイティブのために書いた英語を理解できるようにはなりません。実際、私の塾に入会する人でも、長年、日本の英字新聞で熱心に学習しているけれども、TIMEには歯が立たない、という人は多いのです。

 英語圏から発信される情報をそのまま理解できることを目標に、気に入った海外のメディアを利用してみることをお勧めします。

4. 話題を選ばない

 あらゆる種類の英語を理解するためには、インプットもなるべく多様化させたいところです。とは言っても、現実的には、様々な種類の読みもの、リスニング素材を用意することは難しいですので、せめて購入した雑誌は、全ての記事を読む、ニュースのリスニングでは、1時間番組の全てを聞く、くらいはしてみる必要があります。

 最近はネット上でもポッドキャストでも英語を簡単に聞くことができます。そうするとつい、自分の興味のあるものだけを選んでしまいがちです。何も考えず、とにかく全部聞くようにしてみましょう。

5. 量をこなす

 そして最後に、量をこなすことを忘れないでください。最終的には、どれだけ多くの英語にふれたかが、英語力全般に大きく影響します。周囲の人には、読んだ量、聴いた量では簡単には負けない、と思えるくらいになれれば、英語力は大きく向上しているはずです。

学習から手段へ

 英語を十分に使えていない人は、英語を学習すべき対象ととらえていることが多いようです。学習ですから、出てきた単語は全て調べないと気がすまない、リスニングでは一字一句確認をしないと、学習したことにならないのです。

 そうではなく、英語を利用して知識を得るのだと考えてみましょう。そうすれば、細部までこだわりすぎることはなくなります。ある程度英語の学習が進んだら、英語を学習の対象としてではなく、活用するものとしてとらえていきたいものです。その先に、真の上級レベルの英語力が見えてくるはずです。

効果がでない時は?

 ここまで述べたことを長年実践していても、なかなか効果があがらない、という人もいると思います。人によって理由は様々でしょうが、おそらくは、英語の基礎力に何かしらの問題があることが考えられます。(TOEIC900点レベルであっても、基礎力にぬけがない人はまれです。)基礎力に問題がないかどうか、チェックしてみましょう。

文法力

 文法は、TOEICの対策だけでは不十分です。大学受験用の標準レベルの問題集の問題は、すらすら解けるくらいの文法力はほしいところです。

英文解釈力

 解釈は、個人差が大きく、苦手としている人も多い分野です。英文解釈に関する受験用の本はたくさん出版されています。まずは1冊でいいので、繰り返し読んで、正確に読めるようにする必要があります。多読の際にも正確に文構造を把握できるようになるまでには、相当な時間がかかります。

リスニング

 リスニングでの上達が感じられない人は、個々の音が聞き取れていない、音と音のつながりが聞き取れていない可能性があります。面倒ではあっても、音声学の本や、リスニングの基礎的な本でディクテーションを行い、確実に聞き取れるようにすることが必要となります。

文章として英語を読む

 もう一つの問題は、英語を文章としてとらえることです。英語と日本語の文章構成の方法は大きく異なるため、英語では英語の読み方をしなければ、理解はできません。日本語に訳すことはできるけれども、言いたいことがわからない、という人は、英語での文のつながりがみえていません。

 独学が難しい部分ではありますが、英語ではまず大まかなことを言い、次の文で説明をする、ということを常に意識して、前の文とのつながりを考えながら読んでみてください。「文章を読む」とは ~語彙力は本当に必要か?~に、読み方の基本を載せましたので、参考にしてみてください。参考書では、『英文速読のナビゲーター』(西きょうじ著)をお勧めしておきます。

 なお、「英語総合トレーニング塾」では、TIMEの記事を利用して、文のつながりを重視した読解コースを開講しています。TIMEを細部まで正確に理解したい人には最適なコースとなっています。

自信をもって学習を継続する

 どのような学習法も短期間で目に見える効果は期待できません。効果が出ない間は、自分のしている方法が果たして正しいのか、不安に感じることもあるでしょう。しかし、英語学習に対してのはっきりしたビジョンがあれば、効果が出ない時期であっても乗り越えることができるはずです。日常的に時間を確保して、継続して学習を続けてみてください。

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