TIMEを読むのに必要な語彙数は?

語彙①
TIMEを読むのに必要な語彙数は?

VOCABPROFILE

語彙研究で良く用いられるツールの1つにVOCABPROFILEというものがあります。
私が使用したVOCABPROFILE(BNC)は、British National Corpusと呼ばれる総語数が約1億語にのぼるデータベースのことで、90%が文章から、残り10%は会話から成り立っています。この1億語の英単語を頻度順に並べ、頻度ごとに1,000語ずつのグループに分け、頻出20グループ、すなわち頻出2万語を検索できるサイトがVOCABPROFILEです。現在では、2万5千語まで対応になっているようです。

ここで、1語というのは1 word familyのことを指します。
1つのword familyは、基本となる語とその派生語が含まれます。
例えば、am, is, are, was, were, be, being, beenは全て1つのword family、つまり1種類の単語と考えます。
同様に、color, colored, colorful, colorfully, coloring, colorless, colors, coloured, colourful, colourfully, colouring, colourless, colours, coloration, colourationは全て1つのword familyです。
もちろん、1つのword familyが1つの単語のみから成り立っている場合もありますが、このように数えると、1,000語の中にも形の違う5~6千語が含まれているようです。

TIMEを読むのに何語知っている必要がある?

いくつかの研究によると、文章全体の98%の単語を知っていることが文章理解の条件の1つになっています。
この数字をもとにTIMEを読むのに必要な語彙数を調べてみました。手順は以下の通りです。

  1. まず、私が速読の練習として使った2012年5月~8月までの長めの記事をTIMEのウェブサイトで検索しました。TIMEの定期購読者は、全ての記事が読めるようになっています。長めの記事とは、写真だけのページを除いて本文が3ページ以上あるもの。総単語数で言えば、2000~5000語くらいです。
  2. 記事をVOCABPROFILE(BNC)で分析します。この時、2万語に含まれない(Off-List)単語が一つの記事につき100~300語出てきますので、これらの単語を一つずつ調べていきます。
    固有名詞(人名、地名)は知っている単語としてカウントします。
    また、簡単な単語なのになぜか2万語に含まれない単語も知っている単語とカウントします。
    例えば、sleeplessness、nonprofit、counseling、website、longtimeはOff-Listに入っていましたが、このページを読んでいる人はほぼ全員、これらの単語の意味を知っているでしょう。
    (ただしこの判断は私が主観的に行ったもので、多少の誤差はあると思います。)
    この作業を行うと、一つの記事のOff-Listの中に入るべき難単語は、意外なことに3~20語にまで減ります。
  3. 最後に、98%をカバーする単語数を1000語(word family)単位で調べます。

結果

その結果、10,000語(+固有名詞)を知っていれば、約8割の記事(37のうち30の記事)で、98%の単語がカバーされていることがわかりました。
単語の易しい記事では6,000語、最も難しい記事では12,000語が必要でした。分析の詳細はページ下の表に載せてあります。

Nation(2006)のVOCABPROFILE(BNC)を用いた実験では、小説の98%をカバーする為には9,000語(+固有名詞)、英字新聞では8,000語(+固有名詞)が必要という結果が出ています。
この結果と比較しても、少なくとも語彙レベルではTIMEは小説よりも少しだけ難しいといったところではないでしょうか。

私の語彙サイズは、2012年7月時点で10,700語でした。
(詳しくは「あなたの語彙数は?~語彙力測定ツール②~」を読んでください。)
時間を計ってTIMEを速読している時は辞書を一度も使わず、後で読み返すこともしないようにしていますが、大抵の記事は理解できています。
その感覚からしても、10,000語という数字は目安になりそうです。

TIME、NEWSWEEKの読み方

ではなぜTIMEやNEWSWEEKを読むことは難しいと思われているのでしょうか。
もちろん背景知識や独特な文体のせいもあるでしょうが、最も大きな理由は、多くの人がこれらの雑誌を読む時に完璧な理解を求めているからです。

長い小説を読む時(日本語でも英語でも)のことを考えてみてください。
何百ページもある本の単語を全て知っているでしょうか。あるいは100%理解して読んでいるでしょうか。

そんなわけないですよね。知らない単語はたくさんでてきます。
話の筋を追いながら適当に読んでいると、理解度は7~8割程度でしょう。
それでも、その小説が難しすぎる、と感じる人はごく少数のはずです。
それは、大雑把に理解することが読書の目的だからです。
特別な事情がない限り、小説を分析しながら読む人はいません。

しかし、TIMEやNEWSWEEKを読む時にはなぜか全てを理解しようとするのです。
そのような人は、たとえ長さ3000語の記事の単語98%を知っていても、60語も知らないと考えます。
つまり、3~4ページの記事を単語レベルで完璧に読もうと思ったら、重複する単語のことを考慮しても辞書を50~60回使わなければならないのです。

それだけ頻繁に辞書を使って、しかもそれらの単語を覚えようとするわけです。
それでは一つの記事を読むのに2時間以上はかかってしまい、楽しさも半減してしまうでしょう。
人によっては数日後に、調べた単語だけを見て、覚えているかどうかの確認もするでしょう。
これではリーディングというよりも単語の勉強ですね。

辞書を使うことは悪いことではありませんが、使いすぎてはいつまでたっても英語をスラスラ読めるようにはなりません。
発想を変えて、だいたいの内容がわかれば良い、と考えて読んでみましょう。
同じ雑誌を数ヶ月も続けていれば、最初よりもかなり読めるようになっているはずです。
辞書の助けを借りながら小説を読めるレベルの人は、ぜひTIMEやNEWSWEEKにも挑戦してみてください。
TIMEをどう読んだら良いかは、「私の多読の経験」の私のTIMEの読み方を参考にしてください。

記事のタイトル 98%をカバーするのに
必要な単語数
MURDER, LIES, ABUSE OF POWER AND
OTHER CRIMES OF THE CHINESE CENTURY
10,000
SELLING AZERBAIJAN 12,000
THE Wrestler 8,000
KISS AUSTERITY GOODBYE 9,000
THE GOD OF BIG THINGS 8,000
THE MAN WHO REMADE AMERICAN MOTHERHOOD 11,000
BIBI’S CHOICE 8,000
BRING OUR SON HOME 7,000
HER ROYAL MAJESTY 11,000
Hope Among The Ruins 9,000
ON HIS OWN 8,000
Come on, England 9,000
YOUR GLOBAL ECONOMIC MESS IS NOW BEING SERVED 9,000
IN THEIR HANDS 12,000
WHY CHINA MUST PUSH RESET 8,000
The New Silk Road 9,000
Not Legal Not Leaving 7,000
ROCKET MAN 12,000
A RETURN TO POWER 10,000
THE CULT OF APPLE IN CHINA 8,000
HOW THE MILITARY WON THE EGYPTIAN ELECTION 10,000
ALONE ON THE HILL 10,000
NIGHTMARE SCENARIO 9,000
Reboot School 8,000
WHY EVERYBODY LOVES TO HATE ANGELA MERKEL 8,000
A MAN IN SHADOW 9,000
SYRIA’S RISKY ARMS RACE 10,000
The War On Suicide? 6,000
LOLO’S NO CHOKE 9,000
RIGHT CLUB 10,000
The Ultra-Holy City 10,000
SOMALIA’S CHANCE 10,000
LIVE FROM MARS 11,000
HESITANT STEPPES 12,000
GO GLOCAL 8,000
THE MIND OF MITT 7,000
BLIND FAITH 7,000