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速読 読解速度について
ネイティブスピーカーの読解速度は?
私たちのような英語を母国語としない人にとって、英語をスラスラ読めるようになることは大変なことです。
英文自体の理解度はそれほど変わらなくても、高校や大学に留学しているノンネイティブのリーディングスピードは、ネイティブのスピードの半分から3分の1と言われています(Grabe, 2009)。
この差を少しでも埋めることが、英語力向上の一つのカギになります。
読むスピードが上がれば同じ時間でそれだけ多くの文を読むことができるからです。
ここではまず、一般的なネイティブスピーカーの読解速度についての研究を紹介します。
意外なことに、英語のネイティブスピーカーの場合、文の難易度によって読解スピードが変わることはありません。
ある実験によると、英語を母国語とする大学生は、小学レベル、中学レベル、高校レベル、大学レベルの文章を、ほぼ同じ速さで読んだのです(Carver, 1992)。
スピードで言うと、1分間に300語です。
彼らが読解スピードを変えるのは、読む目的が異なる場合です。
例えばリーディングの後に4択のテストがあり、ほぼ全ての問題に正解する必要がある場合、読解スピードは1分間に200語程度になります。
同じCarver論文には、過去の別の実験では、テストのための読解スピードが1分間に170語だった、という結果が報告されています。
つまり、テストのために読む場合、普通に読むスピードの6~7割の速さになるのです。
リーディングの後に読んだ内容について詳しく話さなければならない場合、読解スピードはさらに遅くなり、1分間に130語前後になるようです。
ノンネイティブはどれだけ速く読めれば良い?
Nation(2009)によると、ノンネイティブが目標とするリーディングスピードは、知らない単語や文法がないという条件の下で、1分間に250語となっています。
知らない単語が増えればそれだけ読むスピードが落ちるので、語彙レベルの高い素材を読む場合には、1分間に200語や150語となることが考えられます。
また、このスピードは普通に読むことを想定していて、テストのために読むことは考慮していません。
日常学習での目標スピードは?
普段英文を読む時は、大雑把に内容を理解することが目的になります。
後にテストがあることはありません。
ですので、簡単な英文であれば1分間に250語、語彙の難しいものであれば、150~200語を目安にするのが良いでしょう。
リーディングスピードを測定する場合も、この数字を目標にしてください。
なお、スピードアップの方法に関しては、「読解速度を上げるには?」を読んでください。
TOEICで求められるスピードは?
TOEICのリーディングパートを全て解き終わる目安と言われている読解速度は1分間に150語です。
TOEICには問題がついていて、なるべく多くの問題で正解することが求められているため、一般的な読書よりも読解スピードは落ちるはずです。
一方、TOEICで問われていることの半分程度は、ざっと読んだだけでも答えられる問題です。
例えば、この文章の目的は何か?という質問はPart7で良く出題されますが、このようなタイプの質問にはじっくり読まなくても答えられますよね。
このことを考慮すると、普通に英語を読むよりも少しだけ注意しながら英語を読めばよい、ということになります。
TOEICで1分間に150語の速さが必要なら、日常学習(文章を読むことだけが目的の場合)ではTOEICレベルの文章を1分間に180語で読むことが目標になるでしょう。
TOEICレベルの文章とは、メールや、新聞記事の簡単なものです。
雑誌や小説になると語彙レベルが上がり、文構造も複雑になりますので、もう少し遅く読むことになると思います。
私の場合、2011年の11月の時点で、TOEICを解く時の読解スピードは1分間に180語でした。
当時、TIMEを読む時は1分間に200語、語彙が簡単な文章では250語のスピードでしたので、TOEICでは少しだけ遅いスピードで読んでいるようです。
英検1級で求められるスピードは?
英検の読解問題は語彙、問題の両方の面でTOEICよりもレベルが高く、より丁寧に読むことが求められています。
従ってネイティブスピーカーの読解スピードの項目で述べたように、読むスピードは、簡単な素材を普通に読んでいる時の6割~7割の速さになる、と考えてよいでしょう。
簡単な文章を1分間に200語読める人の場合、英検での読解スピードは120~140語になります。
このスピードで読めれば、ライティングの時間がなくなってしまうことは少ないでしょう。
過去問を解く時には、一度読解スピードを測っておくことをおすすめします。
私の場合、2012年8月に、まだ解いていなかった2011年第二回の過去問の長文2つで読解速度を測定してみました。
後に問題を解くことを想定して、本番と同じように固有名詞に線を引いたり、パラグラフ内部の構造を分析しながら読みました。
結果、1つ目の長文では1分間に163語、2つ目の長文では1分間に145語の速さでした。
問題には全て正解できました。上で述べたように私は、易しめの素材だと250語の速さで読みます。
これに0.6を掛けると150語になります。英検の場合、易しめの素材の6割の速さで読めば、正確に問題を解くことができそうです。
私の読解速度
本棚を整理しているうちに、かなり前に解いた速読用の問題集が出てきました。
それによると2005年6月の時点で、私の読解速度は1分間に97語でした。
うーん、遅いですね…多読を始めてまもなくの頃だったと記憶しています。
すでに洋書を3冊くらいは読んでいたはずですが、その程度では読解スピードは上がらないんですね。
ただ、この本の単語レベルは高く、理解度確認用の問題もあまり良いとは言えなかったので、ほとんど使わないままでした。
留学中(2007年)の教科書には、授業内で何度か行った速読の記録が載っていました。
テキストはやや易しめの教材です。
その頃のスピードは1分間に140~150程度、最も速い時で170語弱でした。
2005年から2007年初めにかけてかなりの量の多読をしたので、その分読解スピードが伸びたのでしょう。
その後、しばらくスピードを測っていませんでしたが、2010年6月にTIMEで測った記録がありました。
1分間に140語~170語とややばらつきがありますが、難しい素材を読んでもそれなりのスピードで読めるようになっていたようです。
2011年に入ってから、定期的に時間を測ってTIMEを読み始めました。
2011年3月~6月にはTIMEを1分間に160語~180語の速度で読んでいました。
2011年7月に初めてTIMEの読解速度が200語を超え、同じ時期に易しめの教材を1分間に250語読めるようになりました。
日本の高校生でもすらすら読めるような非常に簡単な文章は300語前後で読めるようにはなりましたが、気を抜くとすぐにスピードが落ちてしまいます。
リラックスした状態で300語読むにはまだまだ相当時間がかかりそうです。
現在ではあまり読解スピードが伸びておらず、最も速く読んだTIMEの記事でも1分間に227語ですが、1分間に200語以上読める記事の割合が増えてきています。
TIME1冊を読むのにかかる時間は?
TIME誌を1冊全て読むこと(カバートゥーカバー)は英語力向上に効果的な学習法で、何時間でそれができるかが英語力を測る目安にもなっています。
英語力によって、5時間くらいかかる人から1時間で読める人もいるようです。
かなり正確に数えてみたところ、TIME誌1冊の総単語数は、本文、表紙、目次、写真や図の説明まで入れて約22,000語です(広告ページを除く)。
この数字を基に、TIME1冊を4時間、3時間、2時間で読むためのスピードを考えてみましょう。
なお、このセクションで考える読解速度は、実際にTIMEの記事を読む時のスピードです。
TIME1冊を4時間で読むためには
22,000÷4=5,500 つまり、1時間に5,500語のペースで読むことが要求されます。
1分間で100語弱のスピードです。意外と遅いですね。
とは言っても、その4時間の中に、写真を見ながら説明を読む時間、内容について考える時間、辞書で単語を調べる時間も含まれるわけですから、実際の読解速度はもっと速くなければなりません。
ただ、TIMEを読むことに挑戦している人の読解速度はそれほど遅くはありません。
単語を気にしなければ、おそらく1分間に120~130語のスピードでTIMEの記事を読むことができるはずです。
4時間で読むためのポイントは、辞書に頼り過ぎないことではないでしょうか。
辞書に頼ってしまうと、どうしても時間がかかり、すらすら読むことができなくなってしまいます。
頻繁に辞書を使うことで、リーディングではなく、単語の学習になってしまうのです。
それを避けるためにも、辞書の使用は最小限にしてみましょう。
完全に辞書に頼りながらでないと理解できないということは、まだTIMEを読む英語力はない、ということかもしれません。
もう少し簡単な素材を使って多読をしてから再度TIMEに挑戦してください。
TIME1冊を3時間で読むためには
22,000÷3=7333.3… という計算から、1時間に7,300語程度読む必要があります。
これを1分当たりに直すと、約120語。
このペースで読み続けられれば、TIME1冊を3時間で読みきることができます。
もちろん、本文自体の読解速度はもっと速くなければなりません。
おおよその目安として、長い記事を1分間に150~170語の速さで読める必要がありそうです。
TIME1冊を2時間で読むためには
22,000÷2=11,000 という計算から1時間に11,000語、1分当たりでは、平均で約180語の速さが必要になります。
本文を読む時は、これよりも速く読まなければなりませんので、1分間に250~300語の速さが必要でしょう。
2013年8月時点で、私は約2時間半でTIME1冊を読んでいます。
(最高で2時間10分。ただしその号はページ数がいつもより少なめでした。)
時間を測って1冊全てを読む時には、辞書はなるべく使わず、どの記事もなるべく速く読むように心がけています。
単語は、1冊を読みきるまでに10~20語しか調べません。
ゆったりと読みたい時(集中して読む気力がない時)には、辞書を使いながら3時間以上かけて読みますが、長い記事では基本的に辞書は使わないことにしています。
今でも、知らない単語を全て調べていたら果てしなく時間がかかるからです。
私の当面の目標は、理解度を保ちながら2時間以内で読むことです。
そのためには、長い記事を1分間に250語以上の速さで読めなければならないようです。
現時点では、TIMEの記事を読むスピードはだいたい1分間に200語ですから、この目標を達成するには少なくとも数年はかかりそうです。
今後、読む量、知識を大幅に増やす必要があると感じています。